「今月こそ余ったら貯金しよう」と思っても、給料日前には口座がほとんど空になっている。そんな月が続くなら、貯め方の順番を変えてみてください。

先取り貯金は、給料が入ったらまず貯金の分を別の口座へ移し、残ったお金で暮らす方法です。始め方は 3 ステップです。

  1. 毎月いくら先取りするかを決める(貯金は手取りの 1 割が目安。無理なら少なくてよい)
  2. 口座を目的ごとに分ける(もしものお金・近いうちに使うお金・将来のお金)
  3. 給料日に自動でお金が動くように設定する

この記事では、金額の決め方と仕組みの作り方に加えて、先取り貯金が崩れやすい「特別な出費」への備え方と、夫婦での進め方をまとめます。

先取り貯金とは?「残ったら貯金」との違い

「残ったら貯金」は、使ったあとに残ったお金を貯める方法です。残る額は毎月ばらばらで、出費の多い月はゼロになります。

先取り貯金は順番が逆です。給料日に貯金の分を先に移し、手元に残ったお金で 1 か月をやりくりします。

残ったら貯金先取り貯金
貯金するタイミング月末(残っていれば)給料日(最初に)
毎月の貯金額ばらばら。ゼロの月も決めた額が毎月貯まる
意志の力毎月がまんが要る設定すれば、あとは自動

ポイントは、貯金を「がんばるもの」から「勝手に進むもの」に変えることです。いったん設定すれば、その月の気分や意志の強さに左右されません。

手順 1:毎月いくら先取りするかを決める

まず 1 か月の支出をざっくり見る

いくらなら無理がないかは、毎月の支出が分からないと決められません。最近 1〜2 か月の通帳やカードの明細を見て、次の 3 つを出してみてください。

  • 毎月ほぼ決まった出費
    家賃・住宅ローン、通信費、保険料、習い事など
  • 月によって変わる出費
    食費、日用品、外食、交際費など
  • 年に何回かの特別な出費
    車検、帰省、冠婚葬祭など(1 年分を 12 で割った額。出し方は後半で説明します)

手取りからこの 3 つを引いた残りが、貯金に回せる額の上限です。家計簿をつけていない人は、まず 1 か月だけ記録してみると、この数字がはっきりします。

貯金の目安は手取りの 1 割。最初は少なめでいい

貯金の額は、手取りの 1 割がよく目安にされます。共働きで余裕がある世帯なら 2 割ほどを目指す考え方もあります。

世帯の手取り(月)1 割の目安まず始める額の例
20 万円2 万円1 万円
30 万円3 万円1.5〜2 万円
40 万円4 万円2〜3 万円

ただ、いきなり 1 割にすると、月の途中で生活費が足りなくなり、貯金を崩すことになりがちです。最初の額は「これなら確実に続く」と思える額にしてください。月 5,000 円からでも構いません。3 か月ほど続けて余裕があれば、5,000 円ずつ増やしていきます。

上限を計算したら、ほとんど残らなかったという人もいるはずです。そのときは、まず 1,000 円でも自動で移す設定だけ作り、あわせて通信費や保険などの固定費を 1 つ見直してみてください。固定費は一度下げれば、毎月の余裕がそのまま増えます。

手順 2:口座を目的ごとに分ける

貯金を 1 つの口座にまとめると、「旅行に使ってもいいお金」と「手をつけてはいけないお金」の区別がつきません。目的で分けておくと、使うときに迷わず、崩しすぎも防げます。

分け方何のためのお金か目安の額置き場所の例
もしものお金病気・失業・急な修理生活費の 3〜6 か月分すぐ引き出せる普通預金や定期預金(生活費とは別の口座)
近いうちに使うお金車検・帰省・家電の買い替え1 年分の特別な出費普通預金や自動積立の定期預金
将来のお金教育費・老後目的に合わせて決める定期預金、NISA、iDeCo など

順番は、まず「もしものお金」から。生活費が月 25 万円なら、3 か月分で 75 万円です。遠く感じたら、最初の目標は生活費の 1 か月分で十分です。自営業の人や、収入が 1 人だけの世帯は、少し多め(6 か月〜1 年分)にしておくと安心です。

もしものお金が貯まるまでは、投資より預金のほうが向いています。いざというとき、値下がりした投資信託などを売らずに済みます。

口座はいくつ必要?

最低限なら 2 つです。給料が入って生活費を払う口座と、貯金用の口座。これだけでも「先に移して、残りで暮らす」はできます。

慣れてきたら、貯金用を目的別に分けて 3〜4 つにします。新しく銀行を増やさなくても、ネット銀行の中には 1 つの口座の中に「目的別の口座」を作れるところもあります。

手順 3:給料日に自動でお金が動くように設定する

先取り貯金でいちばん大事なのが、この自動化です。給料日の当日か翌日に、貯金の分が勝手に移るようにします。主な方法は次の 4 つです。

方法どう動くか引き出しやすさ向いている目的
自動積立の定期預金毎月決まった日に、普通預金から定期預金へ移る解約すれば引き出せる(ひと手間かかる)もしものお金・近いうちに使うお金
別の銀行への自動入金給料の口座から、貯金用の口座へ毎月自動で移るいつでも引き出せる口座を分けたいとき全般
財形貯蓄(勤務先に制度がある場合)給料から天引きされる種類によっては目的外に引き出すと不利住宅資金・将来のお金
NISA の積立・iDeCo証券口座などで毎月自動で投資信託を買うNISA はいつでも売れる。iDeCo は原則 60 歳まで引き出せない将来のお金

迷ったら、給料が振り込まれる銀行で「自動積立の定期預金」を 1 本作るのがいちばん手軽です。 新しく口座を開かなくてよく、銀行のアプリやネットバンキングから申し込めることが多いです。

設定するときの注意点は 3 つです。

  • 引き落とし日は給料日の直後にする。 給料日の前にすると残高が足りず、積立が止まることがあります。給料日が土日祝日で前倒しになる月も考えて、数日あけておくと安心です。
  • 別の銀行への自動入金は、手数料と対象の銀行を確かめる。 ネット銀行の中には、ほかの銀行の口座から毎月決まった額を手数料無料で引き落として入金する「定額自動入金」のようなサービスがあります。ただし、引き落とせる銀行が限られることもあります。
  • 投資は元本割れすることがある。 NISA のつみたて投資枠は年 120 万円まで投資でき、その利益には税金がかかりません。ただ、値下がりする可能性はあります。数年以内に使うお金は預金にしておきましょう。

勤務先に財形貯蓄の制度があれば、天引きなので手間がかかりません。制度があるかは、総務や人事の窓口で確かめてください。

先取り貯金が崩れるよくある原因は「特別な出費」

先取り貯金をやめてしまう人に多いのが、こんな流れです。

毎月 3 万円ずつ順調に貯めていたのに、車検で 10 万円、帰省で 8 万円。結局、貯金を崩し、「やっぱり無理だった」とやめてしまう。

車検や帰省は、毎月はかからなくても、毎年ほぼ確実にかかります。この特別な出費を見込まずに先取りすると、貯金が「出ていくお金の一時置き場」になってしまいます。

対策は、1 年分の特別な出費を書き出して 12 で割り、その額も毎月先取りすることです。

特別な出費の例年額
自動車税(車の種類で変わります)3 万円
車検(2 年に 1 回 10 万円)5 万円
帰省・家族旅行15 万円
冠婚葬祭5 万円
家電の買い替え5 万円
誕生日・クリスマス3 万円
合計36 万円(月 3 万円)

この例なら、毎月 3 万円を「近いうちに使うお金」の口座へ先取りします。車検の月にはそこから払えばよく、「もしものお金」や「将来のお金」は減りません。貯金を崩したことにならないので、気持ちが折れにくくなります。

この 3 万円は、貯金とは別の「使う予定のお金の積み立て」です。手順 1 の貯金の額とは別に考えてください。両方は無理という月は、特別な出費の分を優先します。ここが積み立ててあれば、少なくとも貯金を崩さずに済むからです。

ボーナスがある人は、特別な出費の一部をボーナスで払う計画にしても構いません。ただし、ボーナスは減ったり出なかったりすることがあるので、すべてを頼らないほうが安心です。

夫婦・共働きで先取り貯金をするには

夫婦で収入がある場合、「それぞれがなんとなく貯めている」状態だと、家庭全体でいくら貯まっているのか分かりません。進め方の例は 2 つです。

  • 共通の口座にまとめる
    それぞれが毎月決まった額を共通の口座に入れ、そこから先取り分を自動で移します。家庭の貯金がひと目で分かります。
  • それぞれで先取りし、合計を共有する
    お互いの口座で先取りして、月に 1 回、貯金の合計を伝え合います。それぞれが自由に使えるお金を保ちやすい方法です。

出す額は、同じ額にするか、収入の割合に合わせるかを話し合って決めます。収入に差があるなら、割合で分けるほうが不公平感が出にくくなります。

子育て世帯なら、児童手当を生活費に混ぜず、受け取ったらそのまま子ども用の口座へ移すのも先取り貯金の 1 つです。教育費の土台が、意識しなくても積み上がります。

どの方法でも、「何のために、いつまでに、いくら」を 2 人で決めておくのが大切です。目標が共通だと、片方だけががまんしている感覚になりにくくなります。

家族で共有できる家計簿アプリの minotake なら、月に 1 回預金の残高を書き込むだけで、「教育費にあと 50 万円」のような目標までの残りを、夫婦で同じ画面から確かめられます。

続けるためのコツと、つまずいたときの立て直し方

  • 給料日の翌日に、貯金用口座の残高だけ確かめる:積立が止まっていないかを見るだけで十分です。
  • 生活費が足りなくなったら、貯金を崩す前に先取り額を下げる:崩す癖がつくより、額を下げて続けるほうが長続きします。
  • 一度崩しても、やめない:崩した月があっても、翌月からまた積み立てが続いていれば、仕組みは生きています。
  • 半年に 1 回、金額を見直す:昇給や子どもの進学などで家計が変わったら、額と分け方を見直します。

よくある質問

手取りが少なくても先取り貯金はできますか?

できます。月 1,000〜5,000 円からでも、自動で移す仕組みを作ることに意味があります。金額は、家計に慣れてから増やせば十分です。

貯金と投資、どちらに先取りすればいいですか?

まずは「もしものお金」を預金で貯め、そのあと将来のお金の一部を NISA などに回すのが一般的な順番です。数年以内に使う予定のお金は、元本が減らない預金に置いておきましょう。

ボーナスも先取りしたほうがいいですか?

ボーナスが入った日に、使い道(特別な出費・貯金・自由に使う分)を先に分けておくと、なんとなく使い切ることを防げます。ただし、毎月の先取り額をボーナス頼みで決めるのは避けてください。

給料日が決まっていない自営業でもできますか?

できます。ただ、自営業は入ってきたお金がすべて自由に使えるわけではありません。先に所得税・住民税・国民健康保険・国民年金(必要なら消費税)の分を取り分け、そのうえで残りの一定割合を貯金用の口座へ移します。入金のたびに移すか、月初など日にちを決めて移すと続けやすくなります。

まとめ

  • 先取り貯金は、給料日に貯金の分を先に移し、残りで暮らす方法です。
  • 貯金は手取りの 1 割が目安。最初は確実に続く額から始めます。
  • 口座は最低 2 つ。慣れたら「もしものお金」「近いうちに使うお金」「将来のお金」に分けます。
  • 車検や帰省などの特別な出費も、月割りにして先取りしておくと崩れにくくなります。

まずは今月の給料日に、貯金用の口座へ自動で移る設定を 1 つだけ作ってみてください。