「投資を始めたほうがいいのは分かる。でも、何から手をつければいいのか分からない」。そう思ったまま、何年もたっていませんか。
株式投資は、手順だけなら難しくありません。初心者が最初にやることは次の 5 つです。
- 投資に回すお金を家計から決める
- 証券口座を開く
- NISA 口座も一緒に開く
- 何を買うかを決め、少額で買ってみる
- 家計簿に記録して、年に 1〜2 回見直す
この記事は「どの銘柄が上がるか」ではなく、家計を崩さずに投資を続ける土台の作り方が中心です。
株式投資とは?もうけの出方とリスク
株式投資は、会社の株を買って持つことです。もうけは主に 2 つあります。
- 値上がり益
買ったときより高く売れたときの差額 - 配当金
会社が利益の一部を株主に分けるお金(出さない会社もあります)
一方で、株の値段は毎日動きます。買ったときより下がり、投資したお金(元本)を割り込むこともあります。ここが預金との大きな違いです。
また、通常の口座では、値上がり益や配当金に約 20%(正確には 20.315%)の税金がかかります。後で説明する NISA を使うと、この税金がかかりません。
手順 1:投資に回すお金を家計から決める
投資でいちばん避けたいのは、値下がりしている時期に、生活のために売らざるをえなくなることです。だから「いくら投資するか」は、銘柄より先に家計から決めます。
手元のお金を 3 つに分けると、投資に回せる額が見えてきます。
| お金の種類 | 目安 | 置き場所 |
|---|---|---|
| もしものお金(生活防衛資金) | 生活費の 3〜6 か月分(自営業なら 1 年分ほど) | 預金 |
| 近いうちに使うお金 | 5 年以内に使う予定の分(車・教育費・住宅の頭金など) | 預金 |
| 当面使う予定のないお金 | 上の 2 つを除いた残り | 投資に回せる |
たとえば生活費が月 25 万円なら、もしものお金は 75〜150 万円です。これがまだ貯まっていないなら、投資より預金を優先してください。
毎月の積立額は、手取りから生活費と貯金を引いた余りの中で、「下がっても気にならない額」にします。月 5,000 円や 1 万円からでも十分です。お金を仕組みで貯める考え方は、先取り貯金の始め方でも紹介しています。投資の積み立ても「給料日の直後に自動で」が続けるコツです。
手順 2:証券口座を開く
株や投資信託は、証券会社の口座で売買します。スマートフォンから申し込める証券会社が多く、マイナンバーカードと本人確認書類があれば、早ければ数日で使えるようになります。
証券会社は、次の点を比べて選びます。
- 手数料
国内株の売買手数料を無料にしているネット証券も多い - 少額で株を買えるか
1 株から買えるサービス(単元未満株)があるか - 積み立ての方法
クレジットカードや銀行口座から自動で積み立てられるか - アプリの見やすさ
自分が迷わず使えるか
申し込みの途中で口座の種類を聞かれます。迷ったら 「特定口座(源泉徴収あり)」 を選びます。証券会社が税金を計算して納めてくれるので、原則として確定申告がいりません。
手順 3:NISA 口座も一緒に開く
NISA(ニーサ)は、投資のもうけに税金がかからない国の制度です。証券口座と同時に申し込むと、手間が省けます。
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 年間に投資できる額 | 120 万円 | 240 万円 |
| 買えるもの | 国の基準を満たした投資信託など | 個別の株・投資信託など(毎月分配型などは対象外) |
2 つの枠をあわせて、一生で使える枠は 1,800 万円(うち成長投資枠は 1,200 万円まで)です。(出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト」。2026 年 10 月時点)
押さえておきたい点は次のとおりです。
- 非課税の期間に期限はない
持ち続けている間、ずっと非課税です - 売った分の枠は、翌年以降に戻る
買ったときの金額分が再び使えます(年間の上限は変わりません) - NISA 口座は 1 人 1 つだけ
金融機関は年単位で変えられますが、その年に NISA で買い付けたあとは、翌年からの変更になります - 口座を開く年の 1 月 1 日時点で 18 歳以上が対象
夫婦なら、それぞれが自分の口座を持てます
なお、2027 年 1 月からは、0〜17 歳もつみたて投資枠を使えるようになる予定です。年 60 万円・総額 600 万円までで、成長投資枠は使えず、払い出しにも年齢などの条件があります。細かい扱いは、始まる前に金融庁や金融機関の案内で確かめてください。
手順 4:何を買うかを決め、少額で買ってみる
「株式投資」と聞くと、会社を選んで株を買うイメージがあります。ただ初心者には、投資信託という選択肢もあります。
| 投資信託 | 個別の株 | |
|---|---|---|
| 中身 | たくさんの会社の株などをまとめた詰め合わせ | 1 つの会社の株 |
| 値動き | 分散されているので、比較的おだやか | 1 社の業績やニュースで大きく動く |
| 必要な金額 | 100 円や 1,000 円から(金融機関による) | 100 株単位なら数万〜数十万円。1 株から買えるサービスもある |
| 手間 | 積み立てを設定すれば、ほぼ任せられる | 業績やニュースを追う手間がかかる |
| NISA で使う枠 | つみたて投資枠・成長投資枠 | 成長投資枠のみ |
迷うなら、つみたて投資枠で投資信託を毎月積み立て、慣れてから成長投資枠で興味のある会社の株を少し買うという順番なら始めやすいです。

投資信託を選ぶときに見ること
- 何に投資しているか:日本・米国・世界全体など。1 つの国より、世界全体のほうが分散は広くなります
- 信託報酬:持っている間ずっとかかる手数料です。同じ指数に連動する投資信託どうしなら、低いほうが手元に残るお金は多くなります
個別の株なら、ふだん使っている商品やサービスの会社など、事業の内容を自分で説明できる会社から考えるのも 1 つの方法です。株価に対する 1 年分の配当金の割合(配当利回り)も、比べるときの目安になります。
買い方
投資信託は、毎月の積立額と引き落とし日を決めて積み立てを設定します。引き落とし日は給料日の直後にすると、残高不足で止まりにくくなります。
個別の株は、原則 100 株単位で売買します。1 株 3,000 円の会社なら 30 万円です。1 株から買えるサービスを使えば、少ない金額で値動きに慣れられます。
注文するときは、次の 2 点を確かめます。
- 口座の区分で「NISA」を選ぶ:選び忘れると、税金のかかる特定口座で買ってしまいます
- 注文の種類:値段を指定せず今の値段で買う「成行(なりゆき)」と、「この値段以下なら買う」と指定する「指値(さしね)」があります
最初から全額を一度に買う必要はありません。数回に分けて買うと、高いときにまとめて買ってしまう失敗を避けやすくなります。
手順 5:家計簿に記録して、年に 1〜2 回見直す
投資を始めたら、家計簿でのつけ方を決めておきます。おすすめは、投資に回したお金を、食費や日用品などの「支出」と分けて記録することです。支出に混ぜると、投資した月ほど使いすぎに見えて、家計の判断がぶれます。クレジットカードで積み立てている場合も、カードの明細から投資の分だけ分けて記録します。
夫婦で家計を管理しているなら、どちらがいくら投資しているかも共有しておくと安心です。たとえば minotake のように家族で共有できる家計簿なら、投資に回したお金を支出とは別に集計でき、預金と投資をあわせた資産の推移も同じ画面で確かめられます。
見直しは年に 1〜2 回で十分です。値動きを毎日見ていると、下がったときに不安になって売りたくなります。見直すときは次の 3 点だけ確かめます。
- 積立額は、今の家計に無理がないか
- もしものお金が減っていないか
- 投資しているお金が、家計全体の中で多すぎないか
初心者がつまずきやすい 4 つのポイント
- 日本の株の配当金は、受け取り方の設定を確かめる
受け取り方が「株式数比例配分方式」(証券口座で受け取る方法)になっていないと、NISA でも税金がかかります。証券会社の設定画面で確認しておきましょう。 - NISA で出た損は、ほかの口座の利益と相殺できない
通常の口座なら損と利益を差し引いたり、損を翌年以降に繰り越したりして税金を減らせますが、NISA の損ではできません。 - 下がったときにあわてて売らない
株価全体が短い期間で 3 割ほど下がった時期もあります(2020 年春など)。生活に必要なお金を投資に回していなければ、売らずに待つ選択ができます。ただし、値段が必ず戻る保証はありません。 - 「必ずもうかる」話をうのみにしない
SNS や知人から聞く話でも同じです。仕組みを自分で説明できないものには、お金を入れないでください。
よくある質問
いくらから始められますか?
投資信託なら 100 円や 1,000 円から積み立てられる証券会社があります。個別の株も、1 株から買えるサービスなら数百〜数千円から買えます。最初は金額より、仕組みに慣れることを優先してください。
夫婦で始めるなら、どちらの名義で投資すればいいですか?
NISA の枠は 1 人ずつにあるので、夫婦それぞれが口座を持つと、使える非課税枠が 2 人分になります。ただし、片方の収入から出したお金をもう片方の名義で投資し、もらった額が年 110 万円を超えると、贈与税がかかることがあります。110 万円以下でも、実際にはお金を出した人の財産(名義預金)とみなされる場合があります。それぞれの収入から投資するのが分かりやすく、迷う場合は税務署や税理士に相談してください(参考:国税庁「贈与税の計算と税率」)。
確定申告は必要ですか?
NISA と「特定口座(源泉徴収あり)」だけで取引しているなら、原則として必要ありません。NISA の枠を使い切った分や、NISA では買えない商品は、特定口座で買います。
まとめ
- 株式投資を始める前に、もしものお金と 5 年以内に使うお金は預金で確保する
- 証券口座は「特定口座(源泉徴収あり)」で開き、NISA 口座も一緒に申し込む
- 迷うなら、つみたて投資枠で投資信託を少額で積み立てるところから
- 投資に回したお金は家計簿で支出と分けて記録し、年に 1〜2 回見直す
まずは今月、家計を見て「毎月いくらなら投資に回せるか」を 1 つの数字にしてみてください。その数字が決まれば、口座の申し込み自体はその日のうちに済みます。
※この記事は、株式投資の始め方を一般的に説明するもので、特定の金融商品や証券会社をすすめるものではありません。投資は元本割れすることがあります。制度の最新の内容は、金融庁や各金融機関の案内で確かめてください。