毎月の家計はなんとか回っているのに、5 月の自動車税や夏の帰省、年末年始の出費が重なると、貯金を崩してしまう。そんな「たまにある大きな出費」が、家計簿でいう特別費です。

特別費は、急に降ってくるように見えて、実は大半が毎年ほぼ同じ時期に来ます。だから、前もって分かっている出費として準備できます。手順は 4 つです。

  1. 1 年分の特別費を書き出す
  2. 年額を出して、12 で割る
  3. 月別の表にして、積立が間に合わない月がないか確かめる
  4. 生活費とは別の置き場所に、毎月自動で積み立てる

この記事では、書き出しの漏れを防ぐチェックリスト、何年かに一度の出費の割り方、そして見落とされやすい「積立が間に合わない月」の防ぎ方まで、4 人家族の例を使ってまとめます。

特別費とは?生活費と同じ財布で払うとうまくいかない理由

特別費は、毎月はかからないけれど、1 年のどこかでかかる出費のことです。自動車税、車検、帰省、冠婚葬祭、家電の買い替え、年払いの保険料などがあたります。

これを毎月の生活費と同じ財布で、来た月にそのまま払おうとすると、うまくいきません。特別費がない月は「今月は余った」と感じて使ってしまい、特別費が来た月は一気に赤字になるからです。

特別費は「臨時の出費」ではなく、「支払う月がずれているだけの出費」だと考えてください。そう考えると、毎月少しずつ取り分けておくのが自然な備え方だと分かります。

手順 1:1 年分の特別費を書き出す

テーブルの上に、チェック欄のある開いたノートと鉛筆、お茶が置かれている

まず、去年 1 年間に「毎月ではない出費」がいくらあったかを書き出します。手がかりになるのは次のものです。

  • 通帳やカードの明細(とくに金額の大きい月)
  • 家計簿やアプリの記録
  • 手帳やカレンダー(帰省、行事、旅行の予定)
  • 届いた納付書や保険の契約内容

思い出すだけだと、たいてい漏れます。次のチェックリストで、当てはまるものを書き出してみてください。

分類例
税金・社会保険自動車税・軽自動車税、固定資産税、住民税・国民健康保険(自営業などで自分で納める場合)、国民年金の前納
車車検、任意保険の年払い、タイヤ交換、定期点検
住まい火災保険・地震保険の更新、更新料(賃貸)、給湯器や外壁などの修繕(持ち家)
家電・家具冷蔵庫・洗濯機・エアコンの買い替え、スマホ・パソコンの買い替え
家族の行事誕生日、クリスマス、お年玉、七五三などの行事
子ども入学準備、制服、自転車や靴・服のサイズアウト、習い事の年会費や発表会、修学旅行
つきあい冠婚葬祭、お中元・お歳暮、帰省の手みやげ、町内会費・PTA 会費
健康歯科などまとまった治療、メガネ・コンタクトの買い替え、ペットのワクチン
楽しみ家族旅行、帰省の交通費、レジャー
年払いのサービスNHK 受信料の年払い、クレジットカードの年会費、年額契約の動画・音楽サービス

1 年分の記録が手元にないときは、分かる範囲で見積もって構いません。実際の額は 1 年かけて記録し、翌年に直していけば精度が上がります。

なお、車そのものの買い替えや住宅の頭金のように、金額が大きく何年も先の出費は、特別費とは別の目的の貯金として準備するほうが分かりやすくなります。

手順 2:特別費の年額を出して 12 で割る

書き出した項目に、1 年でかかる額を入れて合計します。ここで迷いやすいのが、毎年は来ない出費です。

何年かに一度の出費は「年数」で割る

車検は、自家用の乗用車なら新車登録から 3 年後に初回、その後は 2 年ごとです。冷蔵庫や洗濯機などの家電も、10 年前後で買い替えることが多いものです。こうした出費は、次に払うまでの年数で割って「1 年あたりの額」にします。

出費1 回の額何年に一度1 年あたり
車検10 万円2 年5 万円
冷蔵庫の買い替え15 万円10 年1.5 万円
洗濯機の買い替え10 万円10 年1 万円
エアコンの買い替え10 万円10 年1 万円

金額は一例です。家電の使用年数は、冷蔵庫やエアコンではもう少し長めのことも多いのですが、積立は短めの年数で見ておくほうが、早く壊れたときに慌てずに済みます。

計算の例:4 人家族で年 53 万円

小学生の子ども 2 人、車 1 台の 4 人家族なら、たとえば次のようになります。

項目年額
自動車税3.5 万円
車検(2 年に 1 回 10 万円)5 万円
任意保険(年払い)6 万円
家電の買い替え(上の表の合計)3.5 万円
帰省・家族旅行15 万円
誕生日・クリスマス・お年玉5 万円
子どもの行事・学用品4 万円
冠婚葬祭(年 1〜2 回を想定)5 万円
予備費(読めない出費の分)6 万円
合計53 万円(月 約 4.4 万円)

最後の「予備費」は大事です。急な葬儀やメガネの破損など、書き出しても読めない出費は必ず出ます。年額の 1 割前後を足しておくと、計画が崩れにくくなります。

合計を見て「毎月 4 万円以上は無理」と感じたら、項目ごとに額を見直します。旅行の予算を下げる、家電は長く使う前提にする、など、削る場所を家族で決めておけば、それも立派な計画です。

手順 3:月別の表にして、積立が間に合わない月を見つける

ここが、特別費の計画でいちばん見落とされやすいところです。月割りで積み立てても、出費が積立より先に来ると、その月だけ足りなくなります。

上の家庭が、1 月から毎月 4.4 万円を積み立て始めたとします(給料日に積み立て、その月の出費はそのあと払う前提です)。車検がない年の動きを月別に並べると、次のようになります。

月主な特別費その月の出費積立の累計出費の累計残高
1 月お年玉・冬の帰省6 万円4.4 万円6 万円−1.6 万円
2 月なし08.8 万円6 万円2.8 万円
3 月進級の準備・学用品3 万円13.2 万円9 万円4.2 万円
4 月任意保険の更新6 万円17.6 万円15 万円2.6 万円
5 月自動車税・連休の旅行7.5 万円22 万円22.5 万円−0.5 万円
6 月なし026.4 万円22.5 万円3.9 万円
7 月誕生日1 万円30.8 万円23.5 万円7.3 万円
8 月夏の帰省6 万円35.2 万円29.5 万円5.7 万円
9 月友人の結婚式3 万円39.6 万円32.5 万円7.1 万円
10 月子どもの行事1 万円44 万円33.5 万円10.5 万円
11 月誕生日1 万円48.4 万円34.5 万円13.9 万円
12 月クリスマス2 万円52.8 万円36.5 万円16.3 万円

年間では足りていても、1 月と 5 月は残高がマイナスになります。出費が年の前半に寄っていると、積立が追いつかないのです。

年末に残る約 16 万円は「余ったお金」ではありません。翌年の車検、いつか来る家電の買い替え、まだ使っていない冠婚葬祭や予備費の分です。ここに手をつけないことが大切です。

自分の家でも、同じ表を作ってみてください。紙でも表計算ソフトでも構いません。「残高」の列がマイナスになる月が、積立が間に合わない月です。

間に合わない月をなくすには

  • 積立を始めるときに、まとまった額を入れておく。 入れる額は、表でいちばん大きいマイナスの額が目安です。上の例なら、ボーナスや今ある貯金から 2 万円を最初に移しておけば、1 年を通して残高がマイナスになりません。
  • 年の途中から始めるなら、直近 2〜3 か月の出費を先に確保する。 たとえば秋に始める場合、すぐにクリスマス、お年玉、冬の帰省が来ます。その分だけは、最初にまとめて用意しておきましょう。
  • 少しずつ「1 年先行」に近づける。 ボーナスの一部を 2〜3 年かけて上乗せしていくと、いずれ「今年の積立を来年の特別費に使う」形になります。1 年分が先に貯まっていれば、どの月に出費が来ても慌てません。

税金の支払い時期は、おおむね次のとおりです。表を作るときの参考にしてください(正確な期限は、届いた納付書で確かめてください)。

  • 自動車税・軽自動車税:毎年 4 月 1 日時点の持ち主にかかり、5 月ごろに納付書が届いて 5 月末ごろが期限
  • 固定資産税:1 月 1 日時点の持ち主にかかり、年 4 回に分けて払うのが基本(多くの市町村では 4・7・12・2 月ごろ、東京 23 区は 6・9・12・2 月)。一括で払うこともできる

手順 4:特別費の積立は、生活費とは別の置き場所に自動で

特別費のお金は、毎月の生活費と混ぜないことが一番のコツです。同じ口座にあると、「まだある」と思って使ってしまいます。

お金の置き場所は、次の 3 つに分けると整理しやすくなります。

置き場所入れるお金使うとき
生活費の口座毎月の食費・光熱費・固定費毎月
特別費の口座書き出した特別費と予備費特別費が来たとき
貯金の口座もしものためのお金・将来のお金原則として手をつけない

特別費の口座は、家計に合わせて選びます。

方法向いている人気をつけること
特別費専用の銀行口座確実に分けたい人給料日の直後に自動で移す設定をする
ネット銀行の目的別口座通帳や口座を増やしたくない人1 つの口座の中で「特別費」の枠を作れる銀行がある
自動積立の定期預金手をつけにくくしたい人解約に少し手間がかかるので、近い出費の分は普通預金に
封筒・袋分け現金で管理したい人家に大金を置きすぎない。カード払いが多い家計には不向き

自動で移す仕組みの作り方は、先取り貯金の始め方で詳しく説明しています。特別費の積立は、貯金とは別の「使う予定のお金」として、もう 1 本設定するイメージです。

特別費は、使う時期がおおよそ決まっているお金です。投資に回すと、使いたいときに値下がりしていても売るしかありません。預金に置いておきましょう。何年も使う予定のないお金をどう増やすかは、株式投資の始め方で紹介しています。

特別費の積立を続けるコツと、足りなくなったときの対処

日の当たるキッチンの棚に、硬貨の入ったガラス瓶が 3 つ並んでいる

家計簿には「払ったとき」だけ記録する

特別費の口座へ毎月移すのは、口座どうしのお金の移動です。支出ではないので、家計簿に支出として付ける必要はありません。支出として記録するのは、実際に車検や帰省の費用を払ったときです。

このとき「特別費」のカテゴリを作っておくと、毎月の予算とは分けて見られます。車検の月に「今月は使いすぎた」と誤解せずに済みますし、1 年たつと「帰省は思ったより高かった」「冠婚葬祭は予算より少なかった」が分かり、翌年の計画が正確になります。

残高を家族で見られるようにする

夫婦で家計を回しているなら、特別費の残高を 2 人で見られるようにしておくと、「旅行に使っていいのはいくらか」を相談しやすくなります。たとえば家計簿アプリの minotake では、特別費の口座を資産として登録し、その口座に「12 月までに 20 万円」のような貯金目標を作っておくと、いまの額と目標までの残り、毎月いくら入れればよいかを家族それぞれのスマホで確かめられます。

足りなくなったら、まず予備費、それでも足りなければ後から埋める

予定外の出費で特別費が足りなくなったら、まず予備費から出します。それでも足りないときに、もしものための貯金を少し使うのは仕方ありません。大事なのは、使った分を翌月以降の積立に少し上乗せして戻すことです。

「特別費が足りない」が毎年続くなら、積立額が実態より少ないサインです。記録を見直し、年額を上げましょう。

年に 1 回、見直す日を決める

子どもの進学、車の買い替え、引っ越しなどで、特別費は年ごとに変わります。1 月や新年度の 4 月など、見直す時期を決めておき、チェックリストを使ってもう一度書き出してください。

よくある質問

特別費は年間いくらが目安ですか?

この記事の例(小学生 2 人・車 1 台の 4 人家族)では、年 53 万円、月 約 4.4 万円でした。車を持たない家庭なら、車の分(例では自動車税・車検・任意保険で年 14.5 万円)がまるごと減ります。家族の人数や帰省の距離でも大きく変わるので、まずは自分の家の 1 年分を書き出してみてください。思っていたより多いと感じる人が少なくありません。

特別費は毎月の予算に含めるべきですか?

積立額は、毎月の予算の中に「特別費の積立」として入れます。一方、特別費そのものの支払いは、生活費の予算とは分けて考えます。こうすると、出費の多い月があっても毎月の予算が崩れません。

ボーナスで払うのはだめですか?

だめではありません。ただ、ボーナスは会社の業績などで減ったり、出なかったりすることがあります。すべてをボーナスに頼らず、毎月の積立とボーナスの両方で備えておくと安心です。積立を始めるときの「最初のまとまった額」に使うのも良い方法です。

特別費と予備費は分けたほうがいいですか?

この記事の例のように、予備費は特別費の一部として同じ口座に入れて構いません。計画のうえで「予定している出費」と「予備費」の額を分けて考えておけば十分です。

まとめ

  • 特別費は「支払う月がずれているだけの出費」。毎月少しずつ取り分けて備えます。
  • チェックリストで 1 年分を書き出し、何年かに一度の出費は年数で割ります。読めない出費のために予備費も足します。
  • 月別の表にすると、年間では足りていても積立が間に合わない月が見つかります。始めるときにまとまった額を入れておけば防げます。
  • 生活費・特別費・貯金の置き場所を分け、給料日の直後に自動で積み立てます。

まずは今日、去年の通帳やカード明細を開いて、毎月ではない出費に印をつけるところから始めてみてください。